Honjo Sightseeing Association

本庄市観光協会 会員インタビュー
サンダーバード株式会社様

投稿日:2022年02月25日

“障がいも、病気も、テクノロジーで超えていく。”ドローンやVR/AR/MR/センシングなど最新技術を活用し、子どもや障がい児・障がい者のプログラミング教育、ICT支援を行うIT企業「サンダーバード株式会社」。代表取締役の山根洋平様にお話を伺いました。

取材日:2021年6月2日

2015年5月に創業しました。30歳まで会社員のシステムエンジニアとして働いていましたが、そのなかで障がい者の方と出会って、彼らが全くITを活用できていない現状を知りました。そこで、バリアフリー情報をお届けするポータルサイト(「UNIQUS」)を立ち上げようと思い、クラウドファンディングで資金調達をしました。たくさんの支援をいただきまして、これは自分がやるべきことだと思い起業するに至りました。

今現在のメインの事業は障がい者の方に向けたサービスなのですか?

ICTを活用した障がい者の学習や就労の可能性を広げていくことを事業目的としていますが、そのほかにも一般的なIT企業が行っているようなシステム開発やスマートフォン向けのアプリ開発、ホームページ制作やドローン事業等も行っています。

もともとプログラミングなどに興味をお持ちだったのですか?

高校入学のときに祖母にパソコンを買ってもらいまして、同級生に教えてもらいながらパソコンの使い方を学び、すごく便利なものだなと思いました。ダイアルアップやISDNでインターネット接続をしていた時代ですが、趣味を発信する個人ホームページを作ってみたり、ネットで検索をして見様見真似でプログラムを書いてみたりもしていました。

プログラミングとはどういうものなのか教えていただけますか?

いろいろな説明の仕方がありますが、子どもたちに教えるときによく言っているのが、「機械の翻訳家」です。テレビに向かって「テレビを点けて」と言っても点きませんよね。それを機械やロボットがわかる言語に置き換えるのがプログラミングです。機械やロボットと人間を繋ぐのが我々の仕事です。

「paratech(ParaとTechnologyを掛け合わせた造語)」という言葉に込めた思いを教えてください。

例えば、言葉を発せられない人がコミュニケーションを取るための機器などは、福祉の分野にもあるにはあるんですが、そんなに数多く売れるものでもないため高価なんですね。障がい者の方々がいろいろな悩みや苦労を抱えているなかで、これだけスマートフォンが普及しているのだから、アプリを作れば問題を解決できるんじゃないかと。そういったことを総称して、みんながわかる言葉にしたい。そこから生まれたのが、「paratech」です。「IT×福祉で・・・」と毎回説明するのも大変なので、この言葉が広まってくれればいいなと思います。そうなるような製品をハード/ソフト問わず作っていきたいです。
最新技術を活用すれば、簡単に実現できるものが身近にたくさんあるので、「難しそう、お金がかかりそう」という概念をまずは変えていきたいと思っています。

子ども向けの取組もされていらっしゃいますね。

2017年に自閉症や発達障害の子どもたちにプログラミングを教える家庭教師を始めました。彼らは集団が苦手なので、塾に通うのは難しい面がありますが、プログラミングのような没頭できる作業を好む傾向にあります。これがきっかけで講座の講師を依頼されるようになりました。
一般的にプログラミング教室で教える言語やソフトは1種類なので、そこで教えられたものが気に入らなかったら、その子はもうITをやめてしまう可能性があります。それはとてももったいないことだと思います。我々の世界でも、銀行のATMを作るエンジニアがいれば、ホームページやアプリ、VRなどを作る人もいる。一口にプログラミングと言っても多種多様です。
そこで我々はいろいろなプログラミングを体験できるイベントを始めました。ひとつ合わなかっただけで、全ての可能性を閉ざすようなことにならないように、お祭りのようにいろいろなものを体験してもらう。それで最終的にプラスのイメージを持ち帰ってもらえたらいいなと思っています。
最初の年は自前でやっていたのですが、群馬県に興味を持っていただきまして、翌年からはいっしょにやらせていただいています。特にyoutuber講座が人気ですね。
こうした講座をやっていると保護者の方から「うちの子は何時間もやってしまう。制限をしたい。」といった相談をたくさんいただくのですが、そういったときには、「普段の勉強や生活習慣にプラスになるようなルールを作ってください。」とお話をしています。ただし、ルールは親が決めてはいけません。例えば、「一日1時間」と決められてしまうと、子どもは我慢してそれに従わなければならないような気持ちになってしまう。そうではなくて、その日の宿題をやって、ご飯を食べてお風呂に入ったらやっていいとか、子どもたちが自分で決めたことを守らせるようにする。子どもだけでなく保護者にも向けたICT教育を行っています。

今後の展望を教えてください。

子どもたちの中には、難病で長期入院していて学校に通えていない子もいます。大きい病院だと院内学級もありますが、オンラインであれは病室からでもどこからでも授業を受けられるはずです。課題もあるとは思いますが、子どもたちの未来を考えたら突破していかなければならないと思います。
私たちは今「病室を教室に」という標語を掲げて、VRで教科書の内容が学べるものを作ろうとしています。ほかにも、いろいろな学習へのアプローチの仕方がテクノロジーにはあると思っています。

本庄市観光協会